The Tribe

ABOUT US©Mike Graham

激しい嵐がもたらしたキャンプ4での僥倖。
日頃、ルート・岩場に散在するクライマーが長い停滞を余儀なくされる中、突然嵐は去った。
皆一斉にテントから抜け出して、Stone Mastersというtribeの祭り、集会が始まる。

The Tribeは自由で、冒険的で、創造的なクライミングの魅力をクライマー同士で共有し、互いに刺激しあえることを願って株式会社ロストアローが設立した空間です。

ライブラリー、ギャラリーなどの基本エリアに加え、トークイベントなども可能な設備を設けており、クライマーの旺盛な好奇心に応えます。

TheTribe全体イメージ

ライブラリー

読書や資料探しに没頭できる落ち着いた空間に、国内外の山岳・クライミング関係の書籍・雑誌を新旧広く取り揃えました。館内で自由に閲覧でき、コンシェルジュのようなスタッフとの相談を通してさらに興味を深めることもできます。

ライブラリーイメージ

ギャラリー

館内2つのギャラリーではAとB、コンセプトの異なる2つの企画展を行います。貴重な写真や資料などを通してクライミングの歴史、現在、人物、記録に触れることができます。またテーマとゆかりのあるゲストをお招きするトークイベントも同時開催。会期中は構成を担当したスタッフがアテンドして質問にお答えします。

ギャラリーイメージ1
ギャラリーイメージ2

私の本棚

本はクライマーの思想と行動を創り上げる大切な一部。「私の本棚」は数名のクライマーに協力をお願いし、蔵書を一時提供していただくコーナーです。あのクライマーはどんな本を読んできたのか—— そんなことを考えながら心にふれる一冊との巡り合いをお愉しみください。期間限定でさまざまなクライマーの蔵書に入れ替わります。

私の本棚イメージ

The Tribeという組織

1981年夏の夜、ワイオミング州グランド・ティトンで、当時のアメリカを代表するクライマー達とクライミングについて議論を交わしている時、グレート・トランゴやウリ・ビアホを初登攀したキム・シュミッツが、焚火を囲む全員を「our tribe」と呼んだことを思い出す。

当時の「our tribe」のメンバー達、イヴォン・シュイナード、チャック・プラット、ジム・ブリッドウエル、キム・シュミッツ等は、ヨセミテでクライミングの困難度を極限まで押し上げた後、クライミングの更なる自由と冒険と創造性を求めて、辺境のユタの砂漠の岩塔群、カナダのバガブー山群、アルプス、アラスカ、パタゴニア、ヒマラヤへと越境を続けていく。

クライミングは岩壁や氷壁を登る技術として百数十年もの長い歴史を持つが、その間、クライミングを牽引し飛躍させたクライマー達は、キム・シュミッツが「tribe」と呼ぶ、クライミングが内包する自由、冒険性、創造性を追求した人達ではなかったか。

現代社会では、独特の文化や言語や風俗を持つ民族・部族「tribe」の存続が難しくなっているように、自由で、冒険的で、創造性豊かなクライミングを追求する「tribe」も、少数になりつつある。

ロストアローは、2023年12月に「The Tribe」と呼ぶ新しい組織を発足させる。「The Tribe」設立の趣意は、ジャンルや世代を超えたクライマーが集まり、議論し、刺激し、交流するための場を作り、そこからクライミングにカオスと高熱を呼び起こすことにある。そして、そのカオスから飛び出す多様なクライミング活動を発信し、百数十年続くクライミング文化の継承の一助となることにある。

一方、登攀用具メーカー代理店として創業のロストアローは、「The Tribe」という遊撃組織の活動を通じて、創立時の精神に回帰する旅を開始する。山岳地帯の清流に生息するヤマメが、渓流から大海へ脱出し、やがてサクラマスとなって山岳地帯の清流に回帰するように。

2023年11月25日

The Tribe発起人 坂下直枝