企画展A
展示
開催中
太陽のクライマー「鈴木英貴」の軌跡
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1980年代、鈴木英貴氏はアメリカの岩場を巡り、クライミングシーンを「岩と雪」「岳人」「クライミングジャーナル」に紹介しました。その雑誌記事のコピーを持ち、英貴氏の登ったルートを追いかけ登る若き日本人クライマーたちがいました。若き日の平山ユージ、山野井泰史、寺島由彦、大岩夫妻など、後の日本を代表するクライマーでした。やがて彼らは日本国内の岩場で質の高いルートを開拓していきます。小川山や瑞牆山、城ヶ崎など今も登られて人気のあるクラシックなルートは、英貴氏の影響のもと拓かれたものが多くあります。
1970年代のヨーロッパアルプス、日本国内の冬期登攀を経て、アメリカのクライミングへの傾倒と情熱。ハワイでのカイトボードとの出会いから世界各地への旅。鈴木英貴氏の軌跡を辿りクライミングと向き合う精神を探り、人生をクライミングと旅に捧げた生き様を紹介します。
[鈴木英貴]
活動年譜
1952年 広島呉市に生まれる
1955年 神奈川県横須賀市に移住
- 小学4年生の時、鷹取山で米軍ネイビーがクライミングしている姿が強烈な印象となり、岩に触れクライミングの真似事をする
- 中学・高校は体操、友達の兄の影響でモトクロスにはまる
1971年 早稲田大学政治経済学部入学
1973年 大学2年の終わりに退学
- アルバイトに精を出しながらクライミングという夢を追いかける
1975年 夏に六花同人入会
- 週末の谷川岳、近郊のゲレンデ、北アルプス・穂高岳、剱岳、南アルプスの北岳などで経験を積む
- 年末から正月にかけての1週間で、屏風岩から前穂東壁、北穂滝谷の継続を計画するが吹雪と経験不足で屏風岩のみで下山
- 甲斐駒ヶ岳・赤石沢奥壁左ルンゼ冬期単独登攀
1977年12月25日〜1978年3月末 ドイツ滞在
- ドイツのバシン・スポーツで3ヶ月のスキー修理のアルバイト
1978年4月〜 フランス・シャモニ滞在
- クルト北壁、ミディ北壁、プラン西壁、ドロワット北壁ラガルドクーロワール、フー南壁等を登攀
- ヨセミテ帰りのフランス人ガイドからヨセミテの凄さを聞かせられる
1978年10月末 日本に帰国
- 日本での冬期登攀のため10月末に帰国
- 奥鐘山西壁・左方ルンゼ冬期初登、唐沢岳幕岩、赤沢山南壁冬期初登及び単独初登を果たしたが満たされない登攀だった
1979年5月〜6月 アメリカ
- 初めてのヨセミテ、ジョン・バーカーのミッドナイト・ライトニングのボルダリングを見る
- ハーフドーム北西壁・レギュラールート、エルキャピタン・ノーズとサラテ(全ピッチリード)を登攀
1979年7月〜10月 フランス
- ミディ南壁、グランキャピサン東壁の登攀
- 美智子さんと出会いル・ミナレ南東側稜、エギューユ・ノワール・デュプス南壁、モンブラン・デュ・タキュルのジュルバズッティピラー、エギーユ・ノワールド・プトレイなど立て続けに登り、ドリュ西壁アメリカンダイレクトをくさび止めまで登攀
- シャモニ「プラの岩」でパトリック・エトランジェと出会う
1980年4月〜 アメリカ・ヨセミテ
- 美智子さんと結婚
- ヨセミテで5.10台のショートピッチとミドルカシードラルやワシントンコラムのマルチ・ピッチ、エルキャピタン・ノーズを全ピッチリード
1980年6月 アメリカ・コロラド
- コロラドに移動してエルドラド・キャニオンで5.10台を登る
- エステスパークで第二の父、スティーブ・コミトと出会う
- ランピー・リッジの岩場に通う
- ロングズ・ピーク・ダイヤモンドのカジュアル・ルート登攀
1980年8月〜9月 アメリカ・ヨセミテ
- ヨセミテに戻り、ハーフドーム北西壁ダイレクトルートを登攀
- エルキャピタンのウエストフェース、アクエリアン・ウォールを登攀
1980年9月 アメリカ・コロラド
- エステスパークへ戻り、ランピー・リッジに通う
1981年〜 アメリカを中心に活動
- [1981年]
- ロングズ・ピーク・ダイアモンドのD7ルートを冬期第7登
- 氷瀑を巡りアイスクライミングをしたが以後はフリークライミングに傾倒していく
- ランピーリッジで5.11を登る
- ジョン・ハーリンJr.とユタ州のキャニオンランドで3本のクラック新ルートとスーパー・クラック、モーゼスタワー東壁のプリムローズ・ダイヒードラル、キャッスルトンタワー
- ヨセミテでアストロマンの登攀、エルキャピタンのゾディアック
- [1982年3月〜]
- ジョシュアツリー
- ヨセミテ
- コロラドのランピーリッジ、エルドラド、ボルダーキャニオン
- 5.12を登る
- アーチロックのニューディメンションズ(5.11a)をフリーソロ
- ジュシュア・ツリーで5.10〜5.12ーのフリーソロ
- [1983年〜1987年]
- レイクタホのグランドイリュージョン(5.13c)
- コロラド・サウスプラットのスフィンクス・クラック(5.13b)
- ドナーサミットのスターウォール・クラック(5.13a)を初登
- アリゾナのツーソンのゴールデン・ビーバー(5.13a)を初登
- [1987年6月]
- ジョシュア・ツリーでスティングレー(5.13d)を初登
1989年6月 美智子さん死去
1990年秋〜 クライミング再開
- [1990年秋]
- スポーツクライミングの先駆けアメリカンフォーク・キャニオンのヘルケイブで登る
- ヨセミテでボルダリング後にジョシュアツリーでジョン・バーカーと登る(5.13bをハングドックせず)
- サンディエゴのランディー・リービットのガレージ・ウォールで3ヶ月登る
- レッドロックスやカリフォルニア州やネバダ州の岩場でスポーツ・ルートを拓く
- クラークマウンテン・モナスタリーの5.13cをセカンドアッセント
- レイクタホのケイブロック、レッドロックス等を巡る
- [1997年]
- マウント・チャールストンのコンプトン・ケイブでSoulman(5.14a)を登る
- この時点で1ダースの5.13aと5.13bを1本オンサイト、後にトータルで50本以上の5.13aと数本の5.13bをオンサイト
1998年4月〜2001年4月 ビショップを起点に各地で活動
- カリフォルニア州ビショップを起点に南フランスのブリアンソン、カランク、セユーズを登る
- イタリアのサルディニア島、タイのプラナンで登る
- オーストラリアのマウント・アラピリーズにTV撮影で訪れ、地元のクライマーからサーフィンを教わる
2001年4月〜2018年11月 ハワイ在住
- カイトボードに魅せられ、オーストラリア、ブラジル、メキシコ、フィリピン、ケニア、ベトナムの海で波と風と遊ぶ
2019年
- 長瀞のモンベル店で夏の数ヶ月間アルバイト。他の期間はハワイで生活とヨセミテを中心にカルフォルニアでクライミング
2019年11月〜 日本在住
- 現在も城ヶ崎、小川山、鷹取山ほか日本各地岩場で自身のクライミングを継続。
- 子ども向けのクライミング教室と海外から訪れるクライマーに日本の岩場を案内して自然の岩場の体験を通して日本の自然と岩場の素晴らしさを伝えている。
イベント
中止
トークイベント#04
1970~80年代アメリカのクライマー
鈴木英貴 x 坂下直枝
※当イベントは都合により中止となりました
イベント
終了
トークイベント#03
80年代アメリカクライミングと日本人クライマー
鈴木英貴 x 山野井泰史 x 大岩あき子
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イベント
終了
トークイベント#02
鈴木英貴の軌跡/後編
ビショップ&ヨーロッパ~ハワイでのカイトボード
鈴木英貴 x 保科雅則
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イベント
終了
トークイベント#01
鈴木英貴の軌跡/前編
ヨーロッパアルプスからアメリカ
鈴木英貴 x 保科雅則
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